「プロジェクトリテラシー」というあり方
最近、ずっと考えていたことを、少し言葉にしてみようと思います。
「プロジェクトマネジメント」という言葉を聞くと、多くの人は「自分には関係ない」と感じるのではないでしょうか。資格が必要そうだし、専門家がやることだし、と。
でも、実際に現場を見ていると、そうではない場面にたくさん出会います。
- 研究計画を立て、指導教員や共同研究者と状況を共有しながら、結果がどう転ぶか分からない中で、粘り強く研究を前に進めていく大学院生
- 青少年健全育成委員として、立場も価値観も異なる地域の大人たちと協力しながら、若者を見守る活動を続けているボランティアの方々
- 声かけや本人確認、これから行うことの説明と同意といった細やかなコミュニケーションを重ね、点滴などの投薬は必ずダブルチェックし、患者さんの状態や気づいたことを丁寧に申し送りながら、高い連続性を保っている医療現場のスタッフ
目的や役割は違っても、やっていることの構造はよく似ています。複数の人が関わって、前例のないことを前に進めようとしている。それは、もうプロジェクトです。
「あなたには足りない」ではなく「もう、やっている」
ここで伝えたいのは、「もっと勉強しましょう。教科書を読みましょう。資格を取りましょう。」ということではまったくありません。
むしろ逆で、「今あなたがやっていることに、名前をつけてみませんか?」 ということです。新しい知識をどんどん増やすのではなく、すでにあるあり方に、名前と言葉を与えたい。そういう感覚に近いです。
このあり方に、「プロジェクトリテラシー」という名前をつけてみました。
読み書きのリテラシーが、特定の職業の人だけのものではなく、誰もが使う基礎能力であるように。プロジェクトリテラシーも、「集団で新しいものを生み出す活動に関わる、すべての人」のための基礎能力になるのかな・・・と考えています。
もう少し具体的に言うと、こんなことです。
- 状況から「なぜ」「今どこにいるか」を自分で読み取ること
- 読み取ったことを言葉にして、仲間と同じ理解を持つこと
- 自分とは違う立場の人が、なぜそう動くのかを想像すること
- 想定外が起きたときに、柔軟に方向を修正していくこと
- 役割が決まるのを待たずに、自分に何ができるかを自分で考え行動すること
どれも特別なことではなく、うまく回っているチームなら、誰かが自然にやっていることだと思います。それに名前と言葉を与えることで、もう少し意識的に、もう少し楽しく、もう少し効果的にできるようになる。そんな風に考えています。
敷居を低く、日常の中で
プロジェクトマネジメントの主役は、これまで「管理する人」でした。プロジェクトリテラシーの主役は、「関わる全員」です。
この考え方を、あまり大げさに広めたいわけではありません。資格や専門用語の話として届けるのではなく、日々のミーティングや、部門をまたいだ調整や、ちょっとしたプロジェクトの中で、「あ、これって今の話だ」と思ってもらえたら十分だと思っています。
分野も職種も役職も関係なく、「集団で何かを生み出そうとしている」なら、誰もがすでにこのあり方を、多かれ少なかれ持っています。それに気づき、言葉にして共有していきたいです。
もしここまで読んで、「あ、これ、自分もやっているな」と思うことが一つでもあれば、それで十分です。今日から何か特別なことを始める必要はありません。今、自分がやっていることを、ほんの少し意識してみる。振り返ってみる。それで、もう始まっています。
もし興味を持っていただけたら、ぜひ一緒にこの考え方を試したり、育てたりしていけたら嬉しいです。今やっている生き方・考え方を、みんなで少しずつ磨いていけたらと思っています。
